raincafetokyo

東京のあれこれを楽しむ生活。アートな日常と読書。

ケンローチ監督の、「わたしは、ダニエル・ブレイク」をアマゾンで見た。
2016年のカンヌ受賞作。最新作の、「家族を想うとき」を観る前にと思って。
40年間大工として働いてきたダニエルが、心臓病で倒れ仕事が出来ない状態に。傷病手当をもらうために複雑な手続きを繰り返すがよくわからない制度の前に却下される。ならば失業手当を受けようと、奔走するけれど「お役所仕事」の前に何も得られず膝をついてしまう。
時を同じくして、シングルマザーのケイティーも、2人の子供を連れて役所の手続きをするが、遅刻を理由に申請を断られてしまう。
理不尽な対応に憤りを感じるダニエルが、なけなしの金と時間を親子に注ぎ、自身もあきらめずに生きる道を探す。なれないパソコンも覚えつつ、重い病を抱えながら国の求める型どおりの「仕事探し」を続けるダニエル。
仕事をしたくてもできない体。物乞いをするのではなく、税金を払い続けてきた市民として最低限の保証を受けようとするのに、尊厳を失うような対応しかされない日々。
ぶっきらぼうなダニエルが、あくまでも品位とユーモアを忘れずに戦う姿に打たれる。
社会保障のゆがみ、そしてもっとも正直な人たちが敬意を払われずに打ちひしがれていく姿を淡々としたカメラワークでとらえるケンローチの仕事に感動する。
「家族を想うとき」は、もしかして彼の最後の大事な仕事になるかもしれない。


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